未成年の子供を含めた遺産分割協議をしたケース
状況
信用金庫より、亡夫について、妻及び3名の未成年の子を含めた遺産分割協議に基づく相続登記のご依頼を受けました。
亡夫には住宅ローンのお借入がありましたが、団体信用生命保険に加入していたため、保険会社より金融機関に保険金が支払われ、残された家族の返済義務は無くなりました。
よって、相続登記及び抵当権抹消登記のみとなりました。
司法書士の手伝い・提案内容
上記のようなケースでは、親権者である母親は未成年者の法定代理人となり、遺産分割協議においては利益相反関係になります。
この場合、それぞれの子供について特別代理人の選任を家庭裁判所に申立して、特別代理人による遺産分割協議が必要となります。
遺産分割協議において、親権者である親と子供が相続人の場合、実際は利害の対立が無い場合もありますが、判例では「行為自体を外形的客観的に考察して判断すべきであって、当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもって判定すべきではない」とする立場(外形説)をとってます。
よって、依頼者である母親が未成年者を代理することは、その未成年者の利益を害する恐れがあり、母親が代理して遺産分割協議を行うことは許されません。
また、この場合は、未成年の子が数人いる場合は、その子らの間でも利益相反しますので、子一人ひとりについて格別の特別代理人の選任が必要です。
未成年の子がいるにもかかわらず、特別代理人の選任をしないでなされた遺産分割協議の効力については、無権代理行為となり、子供が成年になって追認しない限り無効ということになります。
結果
子供3名について特別代理人の選任申立、子供3名は県外の高校に進学しており、将来的に地元に戻る可能性は低く、不動産については母親にするとの意向から、家庭裁判所にもご家族の意向を理解して頂き、母親単独名義とする遺産分割協議書によって相続登記・抵当権抹消手続きを行いました。
- 死亡後3ヵ月を超過しての相続放棄を解決したケース
- 未成年の子供を含めた遺産分割協議をしたケース
- 遺言書作成の依頼を受けたが、母親が認知証のケース
- 夫婦に子供がいない場合の相続対策のケース
- 被相続人と特別の縁故があった方の相続手続きを解決したケース
- 養子に行った者が実親を相続したケース
- 兄弟姉妹が沢山おり、相続人だけで20名ほどの大人数になってしまったが、粘り強く解決へ導いたケース
- 県内の大きい土地を相続したが、遠方に住んでいるため、土地を分筆して売却したケース
- 被相続人に借金があったため相続放棄及びその後の手続きを行ったケース
- 仲の悪い兄弟同士で土地を相続するとトラブルになるために土地を売却して現金を分割したケース
- 相続人のうち1名に行方不明者がいて、家庭裁判所の不在者財産管理人を利用したケース
- 相続人のうち1名に行方不明者がいたケース(その2)
- 相続登記の依頼の際、名寄せ台帳を確認したところ登記漏れを発見したケース
- 子供のいない夫婦で、どちらが亡くなった場合に財産を配偶者だけに渡すために遺言を遺すケース